地元で長く教師をしていて多くの子どもたちに慕われる奥様と、建築のプロであるご主人がこだわり抜いたI邸。街中でも一際目を引く大きな平屋で、光の中で輝くような白い漆喰と黒い屋根、優美なフェンスが実に上品な印象。Iさんご夫妻にとってこの家は2棟目の注文住宅にあたり、数年前にご主人が階段から落下したのをきっかけに、立て替えを決めたそう。リフォームよりもコストがかからず、注文住宅ならではの自由な設計が二人の希望通りだった。
そしてご主人の会社ではなく旭住宅に依頼した大きな決め手は「焼き杉」。高級感や落ち着いた風合いなど、その素晴らしさに奥様が感動したそう。この焼き杉は、クラシック音楽を聴かせつつじっくり常温で熟成・乾燥させた音響熟成木材。南九州の杉を使い、香りの良さに加えて、調湿・消臭や抗菌作用など様々な効果に優れていると評価が高い。「寛げる家」を希望するIさんご夫妻にとって最適な素材と言えそうだ。
いつまでも快適に暮らせるよう計算された間取りや設備もI邸ならでは。まず外出時を考えて玄関ポーチ前カーポートを設置しているので、天候を気にせず最短距離で車へと移動できる。カーポートは奥様の部屋にも面しているので、荷物の出し入れなども楽々。玄関ホールからは2つの出入口があり、LDKと和室へそれぞれ直行できるため、将来車椅子を利用することになった場合でも、スムーズに出入りできる。室内はどの部屋も車椅子で移動できる広さで、扉は開閉しやすい引き戸のみ。主寝室からトイレ、浴室まで一直線上にあるのもこだわりで、特にトイレの広さはしっかりと確保している。手すりはあえて付けず、必要な時に最適な位置へ付けられるよう下地を施した上、トイレ内には汚れ物をその場で洗うための洗濯機まで設置することも可能だ。
「将来どうなるか分からないから」と、あらゆる可能性を考慮して、その都度対応するための細やかな工夫には驚くばかり。
代々受け継がれている屏風やミシン、思い出の写真など、多くの宝物を持つ奥様にとって、I邸は生活の場でもあると同時に宝箱も兼ねている。「大好きなものに囲まれて過ごしたい」と、予め置きたい物のサイズを確認して設置場所を決め、さらにステンドグラスタイプの扉やラッキーカラーを取り入れたアイテムなども加えることで、家全体を遊び心のある空間に演出。これらがよく映えるのも、白い「幻の漆喰」と音響熟成木材の焼き杉「黒」で構成されたシンプルモダンな空間があるからこそ。深みのある色合いと風格が、本物のアンティークの気品をしっかりと引き立てている。
調度品や素材の良さはもちろん、家づくりのプロであるご主人と奥様の希望によって綿密に計算された間取りや開放感のある空間づかい、良質素材それぞれの魅力を最大限引き出せる職人技が合わさって、自慢の素晴らしい家が完成したと言えそうだ。
【旭住宅/鹿児島】