敷地を活かした、ちょっとユニークなデザインが印象的なT邸。「宅配の人に、後ろの建物に住んでいるのはどなたですか、と確認されることもあるんです」と、その時のことを思い出して笑顔になる奥様。一見するとT邸は、敷地内に2棟建っているように見える。宅配スタッフが思わず確認したくなるのも納得だ。
そもそもの発端は、ご夫婦が希望していた中庭にある。「2人とも実家の庭が広く、自由に遊んでいた記憶があって。室内から目が届きやすい中庭なら、安心して子どもたちを遊ばせられると思いました」。そのため土地選びでも、広さを条件に、1年半をかけてじっくり探したそう。側道側には複数台分の駐車スペースを取り、建物はその奥へ。手前に玄関とビルトインガレージ、中庭を挟んでLDKがある間取りが2棟に見える理由。ビルトインガレージが南に位置するため、採光性を考慮して高さを抑え、さらに通り土間のような造りにすることで、見通しも風通しも両立させている。
ビルトインガレージと中庭のおかげで道路からの目線が遮られ、ほどよくプライベートが保たれるLDK。ワンフロアでキッチンからの見晴らしもよく、目が離せない子どもたちの様子も確認しやすい。続き間で使える和室はご主人のリクエスト。現在、夜間は家族みんなの寝室として、日中はプレイスペースとして活用されている。また、和室の壁には絵や写真をディスプレイできる棚を造作。「子どもたちの作品や成長をいつでも目にできる場所が欲しい」との声に応えたものだ。
できるだけ家事の負担を軽くするため、キッチン回りに家事ゾーンを集約。背面に洗面・脱衣室、浴室をまとめ、脱衣室からウッドデッキへ出られる動線もある。おかげで洗濯動線がコンパクトになった。また、キッチンの横には1・5帖の家事室も用意。メイクセットを置いてドレッサーとして使ったり、趣味のハンドメイドを楽しんだり。動線配慮でかなえた家事の時短が、自分時間を楽しむゆとりにつながっていく。
【松建(しょうけん)/鹿児島】