台風で屋根瓦が破損したのをきっかけに、家づくりを決めたというUさんご夫妻。施工会社を10箇所ほど回り、二人の希望に応えられる高い技術と良質素材、きめ細やかな対応などが決め手となって旭住宅へ依頼することにした。
壁は自然素材で作られた「幻の漆喰」で、目に優しい色合いと優れた調湿性能、臭いや有害物質の吸着効果も備えた空気清浄機のような壁材。帰宅しても空気がこもっていることがなく、ペットの部屋まで全く臭わない。また、木材を常温で乾燥させた「音響熟成木材」を柱や梁など全ての構造材に用いることで、湿度のコントロールや抗菌性、防カビなどにさらなる力を発揮している。また、杉の無垢材を用いた浮づくりの床は、木の凸凹が滑り止めとなる上に足をしっかり支えるため、長く歩いても疲れないそう。
湿気や傷にも強く、夏はサラリと、冬はほんのり温かい。使うほどにツヤが増して味わい深くなるため、愛着もひとしおだ。
美術作品や書物をこよなく愛するUさんご夫妻がこだわったのが、それらの宝物をしまう収納棚。特に蔵書は膨大な数のため、管理しやすいスライド式の棚を発注して、かなりの重量にも耐えられる真鍮レールを採用した。さらに各部屋の引き戸にステンドグラスを取り入れたり、玄関やLDKに絵画を飾るスペースを設けたりと、お気に入りの品を日常生活で気軽に楽しめるように考えられている。家を構成する職人仕上げの漆喰や天然木を眺めて「やっぱり本物っていいですね」と奥様。本物の素材だからこそ作品の魅力を引き立て、一体感を生み出していると言えそうだ。
そんなこだわりの空間を存分に堪能するべく、エアコンや室外機を見えにくい場所に設置したり、キッチンカウンターの立ち上がりを高く取ったりと工夫が満載。キッチンのキャビネットや建具のアクセントカラー、フロアを丸ごと使った2階のセカンドリビングなど、随所に遊び心が溢れている。
車椅子に対応したゆとりのある空間もU邸のポイント。玄関アプローチは幅広く緩やかなスロープを設け、上り框と土間の高低差も極力なくしている。さらに玄関扉を間口が広い3枚引き戸タイプにすることで、車椅子利用者と介助者の出入りもスムーズにしてある。廊下やトイレも車椅子に対応できる広さを確保して、各部屋の出入口も開閉しやすい上吊り引き戸で統一した。そして基本的に行き止まりがなく回遊できる間取りのため、車椅子でも思い通りに移動できる点が嬉しい。
なかでもトイレの使いやすさには徹底してこだわり、玄関と浴室、キッチン、寝室からすぐ行ける場所に設えられている。トイレの出入口も3方向にあるため、入浴中や就寝時でも近くて安心だ。一方、トイレの手すりは敢えて今は設置せず、必要に応じてどの場所にも付けられるようにしているそう。将来の変化にも柔軟に対応できるアイデアはぜひ参考にしたい。
【旭住宅/鹿児島】