落ち着いた雰囲気の住宅地。土地探しから相談したというTさん夫妻は、尾堂産業の担当者が紹介したこの敷地を一目で気に入ったという。住宅を建てるのに最適とは言い難い、間口9m、奥行き25mの細長い形状だ。でもそれを逆手に取り、間取りはコンパクトに収めて、家の正面にも裏にもゆとりあるスペースを確保。家の中でも外でも、家族が思い思いに憩えるプランとなっている。
もともと、無垢材と漆喰を使った家づくりに興味を持っていたTさん。尾堂産業の家を初めて見たのは、二人で同じ職場の先輩の引っ越しを手伝ったとき。「だいぶ前のことですが、思えばあの時から、こうなる運命だったのかも…」。結婚して家を建てると決めてから、改めて同社のモデルハウスを見学した際、全部屋で無垢材+漆喰壁を貫いている姿勢に感動。自然を感じられる空間に加え、予算的にも納得できたことも決め手になった。奥様曰く、「思わずうっとりしてしまう我が家」が実現した。
奥様の嫌いなもの。それは行き止まり。だからT邸では行き止まりの無い、回遊動線を採用している。キッチンからファミリークロークを通って、洗面・脱衣室、和室、リビングダイニングへ。このファミリークロークが優れもの。中央に通路が設けてあり、両サイドに手持ちの引き出し収納をセットできるように計画。家族分の衣類を集約しているので、着替えや洗濯後の収納もラクなのだ。さらにキッチンの周囲もくるくる動ける。大小の回遊動線で、家の中は渋滞知らず。
子供たちがまだ幼いTさん家族。集うのはもっぱらリビングまわり。そこで、みんなが居心地よくくつろげるよう、空間に広がりを持たせることにした。方法は、南北に設けた全開口サッシ。北面は道路側のため板塀の目隠しがあるが、南面はデッキとの段差を小さくした庭とのつながりも相まって、のびのびとした眺めになった。窓を開け放つと、季節の香りをまとう風が通り抜ける。居るだけで安らぎを感じられる場所なのだ。
【尾堂産業/鹿児島】