思わず吸い込みたくなる心地いい木の香り。足触りのやわらかな浮づくりの床と白い漆喰壁に囲まれた空間は、明るくて、どこか優しい空気感が漂う。そんな自然素材の温もりに包まれるI邸は、オープンな間取りと勾配天井の開放感が気持ちいい平屋の住まい。対面キッチンを備えたLDKにはスタディカウンターもあり、自然と家族が集う。
今まで昔ながらの和風住宅に住んでいたというIさん。家づくりに本腰を入れたのは、2年前の熊本地震がきっかけだった。同じ場所にもともと建っていた自宅が「けっこう揺れた」そうで、万が一に備えるべく耐震性能をアップさせるため、まずはリフォームを考えた。しかし、費用が新築の場合とあまり変わらないことが分かり建て替えに変更。「いつか建てるならこんな家にしたい」と奥様がずっと前から気になっていた正匠は、耐震性だけでなく、気密・断熱に関しても納得できる品質だったことが決め手となった。
これまでの住まいは仕切られた空間が多く「使わない部屋もあった」というIさん。「キッチンは独立した空間でしかも必要以上に広くて、動線にも無駄があった」と振り返る。新築にあたって配慮したのは、空間を仕切らないこと、そして動線に無駄が生まれないこと。和室までつながるLDKはどの部屋にも行き来がしやすく、寝室からキッチン、浴室へと直線で行ける間取りも便利だ。収納も工夫されていて、寝室奥のウォークインクローゼットとは別に、洗面・脱衣スペースにも衣類用の収納スペースを確保。入浴時の着替えや朝の支度がこのスペースで完了し、効率がいい。
この秋の大型台風時には「外で揺れる木を見てはじめて風が凄いんだなと。家の中ではあまり感じなかった」とIさん。強靭さに守られた住まいは優れた気密・断熱性で冷暖房効率も良く、それまでの光熱費との差には奥様も驚いている。
【正匠/鹿児島】