潮の香りが届く港町にある我が家を新しく建て替えたK邸は、子育ても仕事もいち段落したご夫婦と成人された娘さんの3人が暮らす家。「以前は、築140年を超える古民家と戦後すぐに建てられた家を2つつなげて暮らしていたんです」とご主人。木造のしっかりとした家だったのだが、老朽化のため雨漏りに悩まされていたという。そんなご両親を心配して、3人のお子さんたちがこっそり家づくりの準備をしてくれていたのだそう。お子さんたちが情報を集める中で目に止まったのが、本誌で紹介していた「楽しい家」が手がけた新築実例。勧められるままに見学したご夫婦も、同社の家の「重厚な建材や暮らしやすさにこだわった間取り」が一目で気に入り、建て替えを決意したという。「無駄な部屋は必要ないので、その代わり子どもたちが遊びに来た時のために広いダイニングを希望しました」と、プランニングでは、見学した家の間取りを参考にしながら使い勝手の良いシンプルな間取りを目指した。
完成した新居は、広い敷地をゆったりと使った平屋建て。玄関を入ると木の香りが出迎えてくれる自然素材の家だ。お団子作りが趣味という奥様のために、キッチンのワークトップはワイドタイプを採用。背面にも作り付けのカウンターやたっぷり収納できる吊り下げ棚を用意したおかげで作業もしやすく、家族や友人たちにお団子を振る舞う機会も増えたそう。
「水回りの動線もとてもスムーズです」と奥様が言うように、洗面脱衣室とウォークインクローゼットが隣接して配置されている。おかげでバスタイムの衣類の準備もしやすく、このクローゼットを通って玄関へもつながる回遊性のある間取りになっているため外出時や帰宅時も便利。洗濯物は外に干すことが多いという奥様のために作られた使いやすい物干し台はご主人の手によるものだ。実は、庭の菜園や芝はもとより、アプローチなどの外構まで、この家が出来てから少しずつご主人が作り上げていったのだそう。
「毎日、木の香りと素材の風合いに癒されています」と奥様。同社が使用する木材は鹿児島の風土に適した国産材だ。住む人の健康を守る自然素材に徹底的にこだわる家づくりで実績を重ね、K邸でも無垢材や漆喰、竹炭入り清活畳が惜しみなく使われている。これらの上質な素材そのものが、暑い夏も寒い冬も快適で、大きく深呼吸すると新鮮な空気が体中に行き渡る気持ちの良い空間を作り出しているのだ。
新しい家ではお孫さんを預かることも多いというKさんご夫婦。子どもたちも気軽に遊びに来られるよう、大きなダイニングテーブルを置ける広々としたLDKを用意した。この部屋のテーブルや家電もお子さんたちからのプレゼントなのだそう。家族の絆が実現させてくれた新しい住まい。この心地よい空間で、3世代の家族みんなで和やかな時間を過ごすことができそうだ。ご主人は、これから季節を彩る植栽を増やす予定。家庭菜園でもさまざまな野菜を育てる計画を立てている。
【楽しい家/鹿児島】