H邸は緑豊かな姶良市の、せせらぎが心地いい川沿いに立地している。玄関を開けてさっと包み込まれるのは、豊かな木の香りだ。家全体にふんだんに使用されている杉材。それが、一歩踏み入れるだけで安らぎを感じる空間を実現させている。創建の資材調達力と、オリジナルの建具のラインナップの豊富さに加え、H邸を特徴づけるのは、Hさんの所有する山からも木材を調達していること。なんと120年生以上の大木もあり、玄関の上がり框(かまち)の一枚板をはじめ、天井や壁などいたるところに使用され、圧倒的な存在感を放っている。
また、開放感にこだわり、リビングの全開窓をはじめ、一つ一つの窓が大きく、数も多いがプライベートをしっかり確保している。緑の多いこの立地で木枠の窓から眺める風景は、額縁に収まる絵画のようで、心を潤してくれる。
創建の強みは、調湿性・断熱性に優れた素材を使うことで住まいの性能を高めている点にもある。断熱材は環境配慮型の「デコスドライ」工法で、壁の大半には自然素材のみを材料にしたオリジナル珪藻土「大地の惠」を採用。「大地の惠」の調湿性が特に生かされているのは洗面・脱衣室とトイレだ。まず洗面・脱衣室に入り、入り口を閉める。その先には1.25坪の広い浴室。このひとつながりの空間が、乾燥室の機能も持つのだ。室内の洗濯機から衣類を出して、干す。乾いたら、室内の収納や隣のウォークインクローゼットにしまう。キッチンもすぐそばなので、洗濯・炊事といった家事のメインが、短い動線で完結する。オリジナルの素材と、動線を意識した設計が、日々の生活にゆとりを与えてくれそうだ。