ぜん息気味の子どものため、Tさんご夫婦は健康に良い天然木の家づくりを考えていたそう。様々なハウスメーカーや工務店の中から、小園建匠のスタッフの誠実な人柄と手掛けた家の素晴らしさに惚れ込んで、依頼することになった。
主に使用するのは鹿屋の風土に最適な地元の木。丈夫で折れにくく、ほどよい水分量になるように1年位じっくり自然乾燥させた希少なものだ。木材の加工も自ら行うため、コストを抑えつつ自由度の高い仕上がりが叶う。「見えない部分だからこそ手を抜かない」と、骨組みには大きく丈夫な丸太を使い、支える際に負担がかからない合掌造りを取り入れた。サッシの上にも大きな梁を付けて、堅固さを高めると同時に経年による歪みを防止するなどの工夫も。斜め市松模様を加えた天井や統一感のある建具など、見える部分にも職人のこだわりや遊び心が反映されていて、伝統工芸品のような味わいが感じられる。
洋館をイメージしたT邸は、曲線を活かした優美なデザインと温かな色合いが印象的。手作りの白い鎧戸がヨーロッパ的な雰囲気を高めている。玄関は「家の顔だから」と空間を広めに取り、木をアーチ型に組んだ天井やステンドグラス風の窓はまるで教会のよう。どこか長崎の天主堂を思わせる気品が漂っている。
間取りは風水面も配慮し、子ども部屋は採光・通風抜群の東南に決定。最も在宅時間が長い奥様の作業机やキッチンもその隣に設え、浄化槽の配置も計算して決めたそう。玄関から子ども部屋へはダイニングを通るので、自然と声が掛け合える点も家族から好評。ただ、ダイニングが子ども部屋への通路も兼ねているため、そこに合うサイズのテーブルが見つからないのが困ったところ。非常に悩んで小園建匠に相談したところ「大丈夫、作ります」と頼もしい発言が。人が通りやすいように少し細長く、使い勝手の良い理想的なテーブルを用意してくれたそう。
小園建匠は社長が施主と直接話し合って一から作り上げるのがモットー。「間に人を挟むと遠慮したり、希望が正しく伝わらなかったりするから」「自分が請け負うから、どこまでもこだわれる」と語り、その言葉通り造り付け家具や建具、天井の加工に至るまで全て手掛け、規格外の内容でも柔軟に対応。プロ目線のアドバイスにも大いに助けられたそう。
使う木材一つ取っても床が傷に強いサクラ、壁がヒノキ、天井がスギとそれぞれの特性を踏まえて提案してくれる。照明やステンドグラス風の窓は奥様が見つけてきたお気に入りを使い、それらに合わせて収納や扉を造るという対応が叶うのも小園建匠だからこそ。「外注すると施主さんに手間をかけるし、コストも上がるので、作れるものは何でも作ります」と、寝る間を惜しんで作ってくれたそう。そんな思いがこもったT邸だから全てに調和が取れていて、家具まで含めた『注文住宅』の良さをしっかりと伝えてくれている。