外観のアクセントにもなっている多角形の屋根が印象的なE邸。「ヨーロッパにあるお城のような家をつくりたかった」と語るご主人。雑貨巡りが趣味で、独特な風合いのあるアンティーク雑貨を収集しつつ、住まいも好みに合わせた空間を追求。アンティーク調のクロスや部屋毎に雰囲気の違う照明、表面に擦れたような加工を施したおしゃれなキッチンなど、懐かしさと温かさに包まれたアンティークテイストの優雅な雰囲気の住まいに仕上がった。
また、クロスやカーテン、家電の色使いにもこだわり、赤や緑といった鮮やかな色をチョイスすることで、差し色となって高級感の漂う、洗練された空間になった。「本当は、内装を緑の壁にしたかったけど、さすがにそれは反対されました」とにこやかに語るご主人だが、今ではリビングの雰囲気が一番のお気に入りだそう。さらに、使い込むことで変化する風合いや「質感」を楽しもうと、キッチンカウンターやスタディールームの梁は擬木(プラウッド)ではなく本物の木を採用。本物だけが持つ素朴さや温かさに包まれた、情緒豊かな空間を実現した。
ほとんどがご主人の意向が組み込まれた家づくりだが、奥様も楽しみながら参加。唯一お願いしたのが、キッチン横のスタディールーム。「ダイニングに設置してもよかったのですが、来客時に片付けないといけないのが面倒で…。しかし、リビングから隠れたスペースに設置することで、突然の来客時にも慌てて片付ける必要もなく、小部屋みたいな感覚で子供たちも喜んでいます。キッチン横にあるので、夕食を作りながら子供たちの様子が伺え、コミュニケーションもとりやすいです。子供たちが成長して使わなくなったら家事ルームにします」と奥様。スムーズで機能的な回遊性のある間取りもお気に入りの様子。
子どもたちの遊びを促し、家事動線も効率的。そのポイントは適材適所の収納にも助かっている階段下収納。2か所設られけていて、玄関前は扉付きの大収納庫を。もう1か所は、取り出しやすく片付けやすい扉無しのオープンスペースになっている。急な来客時にも重宝し、通常は子供たちの秘密基地にもなっている。
本誌『かごしま家づくりの本』がきっかけで出会った『ミューズ建築工房』。デザインや雰囲気に魅かれてスタートした家づくりだったが、何よりも心が動かされたのは、社長をはじめスタッフの人柄だという。「何軒か違う業者で話を聞きましたが、希望を伝えると『できません。やるとしても金額が上がります』『この範囲で選んでください』と制限もあり、対応が厳しかったです。しかし、ミューズ建築工房さんだけは違いました。選択の幅も広く、簡単に『できません』とは言わず、予算内で、私たちの希望に必死に応えてくれました。時には意見が合わず言い合いにもなりましたが、何回も対話を重ね、最善の案を考えてくれました」とご主人。完成する頃には、家族のような関係が築けていたという。
さらに、「キッチンの通路幅や作業台の寸法はこれ!」とプロからの提案に、当初はどうして?と疑問を抱いていた奥様だったが「冷蔵庫までの距離もベスト。子供ともぶつからず、ストレスなく楽しく料理ができています」と、住んでみて初めて分かる心地良さを実感しているという。
【ミューズ建築工房/鹿児島】