バーカウンターと潔いほど家具が排除された広々リビングが出迎えてくれるF邸のリビングダイニング。遊びたい盛りの子どもが3人もいるとは思えない、シンプルな空間だ。「家づくりを検討していたときにたまたま見学に行った家が同じようなつくりで、デザインも含め一目惚れでした」と奥様は語る。
とはいえダイニングテーブルがないとなると、一体どこで食事をしているのだろうか。聞けば、食事をする場所は決まっていないそうだ。「妻は次女と和室のちゃぶ台で、私と長男はカウンターで、長女は子ども用のテーブル付きの椅子で食べることが多いですね」とご主人。もちろん寝る場所も然りだ。「机やベッドを置くことで、その空間の利用目的が固定されてしまうのが嫌なんです」とご主人は笑う。また、家具がないおかげで、子どもたちもケガの心配をすることなく自由に走り回れる。F邸には、既成観念に囚われないお二人の人柄がそのまま住まいに表れている。
F邸には、天然素材が贅沢に使われている。1階は職人技が光る漆喰壁や木製の扉、厚さ35ミリの杉材を使った浮づくり加工の床、側面に美しい年輪が浮き上がる一枚板の階段などから、高品質な素材の良さを最大限に引き出す黒松製材建設の技術力がうかがえる。
2階には子ども部屋とご主人の趣味部屋がある。1階には奥様の部屋もあるため、家族全員のプライベート空間が確保されている。「たとえ狭くても自分専用の部屋があるのはうれしいこと」とご主人。このようにF邸は、生活空間とプライベート空間にメリハリをつけることで、誰もが快適に暮らせる住まいを実現しているのだ。
入居して1年。「まだこの家を使いこなしていない」と話すご主人は、日々我が家の伸びしろを発見するのが楽しいそう。子どもが幼いうちは今の暮らしを続ける予定だが、今後どうなっていくかはわからない。そんな自由度の高さが、家族の笑顔をより一層輝かせているのだろう。
【黒松製材建設/鹿児島】