「キッチンに居ることが多いと思ったので、居心地良い場所になるように心掛けました」と奥さまが語るN邸のキッチンは、そこからリビングダイニング、そして庭まで見渡せるオープンな空間だ。
「見える方が意識して綺麗にするから」とワークトップが丸見えになるフルフラットの対面キッチンをオーダーし、キッチン前面には奥さまこだわりの丸いダイニングテーブルが置かれている。長方形のテーブルよりも広いスペースが必要となる丸テーブルを置くために、作業スペースや収納スペースを削ったとのことだが、窮屈感は全くなく、さりげなくグリーンを飾りながらすっきりとした印象をキープ。広々としたワークトップは料理もしやすく、3歳の息子さんもキッズ包丁&まな板で料理を手伝ってくれるのだとか。リビングダイニングから庭へのアクセスもスムーズなので、庭に降りて食卓を彩るハーブを収穫したり室内を飾る草花を摘んだりと、庭とともにある暮らしを満喫しているのだそう。
家の中心となるリビングも、吹き抜けで2階とつながる開放的なつくり。吹き抜けの上部には、寝室と一体になったフリースペースが広がっている。現在この部屋は子どものプレイルームや室内干し用のスペースとして活用しているそう。「洗濯物を室内に干していても、風の通りが良いからかとてもよく乾きます」と奥さま。2階には、このフリースペースのほかに「個室も一つはあった方がいい」とのアドバイスを受けて作られたこの家で唯一の個室があるが、今はあまり使っていないのだそう。風通しの良さだけでなく視界の広がりも感じられるフリースペースは、就寝前の子どもたちと遊んだり絵本を楽しんだりできる家族の、もう一つの団欒スペースだ。
全体的に空間が大胆につながるN邸は、家の内部に構造となる柱が少ないスケルトン・インフィル工法を用いた住まい。それは、将来の家族構成やライフスタイルの変化に合わせて間取りや設備、内装を柔軟に変えることができるロングライフ住宅だ。
「木のぬくもりを感じられる住まいを建てたかった」というご夫婦の希望通り、無垢材をたっぷり使った室内は、木のリラックス効果で伸び伸びとした子育てを叶えてくれそうな気持ちの良い空間に仕上がった。子育て真っ只中の家族にとって、大らかな気持ちで子どもと接することができる環境を整えることは、家づくりでの大切な要素。N邸のように、どこにいても家族の気配が感じられる間取りは、好奇心旺盛な子どもたちが自由に動き回っても穏やかな気持ちで見守ることができそうだ。
壁に使われているのは、火山灰シラスを用いたシラス壁。職人技による風合いが味わい深いこの塗り壁は、調湿効果や消臭効果も高く、オールシーズン快適に過ごすことができるという。鹿児島に暮らす私たちにとってとても馴染み深いシラスは、化学物質を含まないため健康的な室内空間を実現する。自然の力を身近に感じさせてくれるナチュラル素材もまたこの家の魅力の一つだ。
【ヤマサハウス/鹿児島】