鹿児島市内の閑静な住宅街。黒と淡いベージュのツートンが、優しげで落ち着いた印象を与えるT邸がある。Tさんご夫婦が正匠の見学会を初めて訪れたのは5年ほど前。土間のある和の趣や、自然素材に囲まれた優しい空間、「どこもかしこも木」ではなく、ほどよく木の温もりを感じられる落ち着いた雰囲気が気に入ったそう。そんなTさんの新居は、足を踏み入れるとまず広々とした土間玄関、そしてそこから開放的に繋がる和室という大胆な間取りにまず驚かされる。一部屋取れそうなほどの広さがある土間玄関は、自転車など屋外で使う道具類を置くスペースとして、また、雨の日でも子どもたちが遊べる庭代わりとして多目的に活用できる場所だ。広く繋がる和室は来客にもスマートに対応でき、玄関先だけでやりとりするときにも、和室に腰かけて気軽に寛いでもらえる。その和室はさらに吹き抜けのあるLDKへと繋がり、木の温もりに安らぐ心地いい空間が広がっている。
暮らしの中心となるLDKは、とても洗練された印象だ。そのポイントとなるのはまずキッチン収納。食器類はもちろん炊飯器やレンジなどの家電製品も、計算して造りつけられた収納にきれいに収まり、そのすべてが引戸で隠されている。また、ランドリーや浴室、トイレなどは、すべてキッチンの裏側やLDKから見えない位置に配され、生活感を感じさせない工夫がなされている。その一方で家事動線は抜群。キッチンのすぐ背後が浴室やランドリースペースであり、家事台も備えているので、衣類の洗濯から整理まで、一連の作業のほとんどがここで完了する。
「どこにいても家族の気配を感じられる家」を望んだTさんファミリー。LDKの吹き抜けは1・2階を繋げ、違うフロアにいても同じ空間にいるという安心感を生み出してくれる。家族が集まるLDKにはスタディカウンターやピアノがあり、家族が互いの気配に安らぎながら、思い思いに過ごせる場所だ。
【正匠/鹿児島】