坂を上った眺めのいい高台にあるK邸は、建坪30坪のコンパクトな平屋。白とグレーを基調にした外観に、白い窓枠とアイアン飾りのある木製ドアが目を引くかわいらしい佇まいが印象的だ。暮らしの中心となるのは、ホワイトグレーのフローリングがシャビー感を演出するLDK。アンティークのような渋さを放つテーブルや椅子、天井の飾り梁の風合いもマッチして、明るくも落ち着きのある空間が広がっている。
Kさんが大事にしたのは、このLDKが自然と家族の集まるスペースになること。ニッチ風のおしゃれな本棚を設けて絵本に親しみやすくしていたり、スタディカウンターを造作して宿題に取り組みやすくしていたりと、特に子どもたちとの時間を重視した工夫が光る。勾配天井の開放感が心地よく、家族の様子を見守れる対面型のオープンキッチンもコミュニケーションを育む空間。子ども部屋が隣接していて、子どもたちが行き来しやすいのもポイントだ。
K邸の絵本棚には素敵なフォトブックがある。友人に作ってもらったというそれには、家ができるまでの日々が綴られ、愛情をもって家づくりを楽しんだことが伝わってくる。「二度とないことだと思ったので、現場にもよく来ていました」とご主人。大工さんとも歳が近くて話しやすく、足しげく通い工程を見守ったそう。また、最初は特にこだわりはなかったが、担当の営業スタッフとやり取りをしているうちに、だんだん楽しくなってきたとも振り返る。「現場で会うと、思い付いたアイデアをその辺にある板にすぐ描いてくれるので、イメージが沸いて楽しくて。次第に自分もこだわるようになっていました」。そんなやり取りのなかで、追加でニッチを造ったり、和室の天井に段差を加えたりと、現場で決まったことも少なくなかったそう。「ほら、もう床ができてるよ」と子どもたちと一緒に喜んだり、キッチンカウンターのタイル貼りに挑戦したのもいい経験。新居ながら、早くもたくさんの想い出が刻まれているK邸である。
【田丸ハウス/鹿児島】