レトロカラーの木の風合いとナチュラルテイストの家具でコーディネートされた室内が、どこか懐かしい気持ちにさせてくれるF邸。奥様が思い描いていた理想の住まいは、居心地の良いカフェのような空間だったそう。ひとくちにカフェ風といってもそのテイストは色々。カフェ空間を作る上での色使いやインテリア選びはとても大切だ。ここでは、天井や床に使われている木の素材感を楽しむシンプルな空間を生かしつつ、お気に入りの食器棚に合わせてキッチン周りのカラーを統一。間仕切りのない開放的な造りでゆったりとした空間を確保し、常にすっきりとした印象をキープするために、手元の隠れるカウンターを採用した。キッチン横にはパントリーも用意され、ゴミ箱などの生活感を感じさせるアイテムをまとめて収納。また、ダウンライトだけではなく雰囲気を醸し出すペンダントライトを取り入れて、キッチンスペースに華やかさをプラスしている。
F邸では玄関から横に廊下を伸ばし、LDKとバスルームなどの水回りをこの廊下を挟んで左右に配置。そうすることでLDKの独立性が高まり、ゲストが訪れた際もくつろいで過ごしてもらうことができる。2階でも直線に伸びる廊下が住まいのゆとり空間として機能。廊下の奥には、ご夫婦のワークルームとして使えるようカウンターとパソコン棚を設置した。ここからインナーバルコニーへ、ちょっとワクワクするような空間演出がなされている。
「好みを伝えるだけで、暮らしやすい間取りや室内デザインまでほとんどお任せで理想通りに仕上げてくれました」と奥様。図面やサンプルだけではわかりにくい全体のコーデネートを立体的なCG画像を見ながら確認できたことも、イメージ通りの空間づくりに役立ったという。また、陽当たりのシミュレーションも行い、夏の陽差しが室内を照らさないように庇の深さが調整されているのだそう。
【建築社/鹿児島】