日本一の大楠で有名な蒲生八幡神社近くに、建築本舗KURAのモデルハウスが誕生した。玄関からリビングに入ると、広々とした空間に5本の杉の柱が並び、圧迫感を感じさせない目隠しになると同時に、広い空間のアクセントとなっている。無垢材を使用したシステムキッチンは、カウンターのタイルあしらいなど細部まで大工さんの手によるオリジナル。洗面室ではモザイクタイル枠と木製枠の鏡が並べられ、自分の好みのテイストを目で見て選べる気配りも。
しかし、このモデルハウス一番の見所は、壁や屋根裏に隠されたWB工法の構造だ。長年現場の棟梁として仕事をしてきた同社社長の倉原さんが試行錯誤の末にたどり着いた「良い家とは?」の一つの答えが「WBハウス」。ここは、スイッチ一つで室内の換気ができる高気密高断熱住宅とはちょっと違う、WBハウスの住宅性能の秘密を体験しながら学ぶことができるモデルハウスなのだ。
高温多湿の日本の夏を快適に過ごすために、昔から日本の家は湿気や熱が自ずと排出される構造や工夫が施されていた。それは「暑くなったら服を脱ぎ、寒くなったら服を着る」ように、家本体が気温の変化に対応する仕組み。WB工法では、そんな先人たちの知恵をお手本に、夏は自然におこる上昇気流を利用して建物内の熱を排出させ、冬は暖房した空気を逃がさないよう開口部を閉じる。その通気口の開閉を行ってくれるのは、温度によって伸縮する熱感知式形状記憶合金だ。
日本の家に昔から使われていた土壁も調湿効果に優れ、湿気の多い日本の気候風土に適した素材。WBハウスでは、土壁の持つ調湿作用を現代の家づくりに置き換えて湿気や臭気を透過させ、壁の中の通気性を高めることでクリーンな室内環境を実現する。同モデルハウスでは、壁材の見本も用意されているので、実際に目で見て手で触りながら違いを確認することができる。