シンプルなフォルムに異素材の組み合わせで外観の表情に変化をもたせたT邸は、北と東が道路に面している角地に建つ住まい。この敷地を有効に利用しながら陽当たりの良さを確保するため、敷地を斜めに使った建物の配置が印象的だ。建物を斜め向きにしたことで隣家と窓が正対することがなく、庭同士の距離も遠くなる。T邸においては桜島を正面に眺められるというメリットもあったそう。建物を斜めに配置することで生まれたスペースには、植栽や小さな離れを配置することも可能だ。
敷地の北西に3台分の駐車スペースを用意したT邸では、玄関が北側に位置する。東南向きのリビングは、外からの視線を遮りながら明るい光を室内に取り込むために、掃き出し窓ではなく4つの小窓を採用。この窓を高い位置に並べることで外観上のアクセントにも。また、リビングドアには大きなすりガラスがはめ込まれ、暗くなりがちな北側の玄関にも光を届けている。
柱や梁の木目は濃い色合いにし、壁の部分を白で統一した室内はどこかノスタルジックな雰囲気が漂う。1階はリビングを中心とした無駄のない間取りで広々とした空間になるように心がけた。リビングから直接、玄関や階段、水回りへとアクセスできるので生活動線もスムーズ。階段下の隙間も玄関収納や洗面スペースに上手に利用されている。2階には家族の衣類をまとめて管理できる収納部屋を用意。その横に、西日を利用した室内干し場を設けた。
同社が建築中だった別の現場を通りかかったときに、思わず声をかけたことが家づくりのきっかけになったというTさんご家族。そこで見た無垢材の木の温もりや室内デザインは今回の家づくりにも生かされている。プランニングの際、CGを使った立体的なイメージ図で床や壁の色、間取りの細かい配置まで視覚的にわかりやすく提案してもらったことも、思い通りの住まいを作るためのポイントになったそう。
【建築社/鹿児島】