利便性の良いマチナカの住宅地。Kさん家族は現在の場所に、借家があった頃から暮らしている。「〝家づくりの本〟を見ながら、マイホームを検討していた時期もあったのですが、いったん保留になって。物事が落ち着き、これからの暮らしを考えていたタイミングで父から、尾堂産業の家がいいぞ、と紹介されました」と、穏やかな笑顔で当時を振り返るKさん。
実際に伊集院に建つモデルハウスを訪れたとき、たっぷりと用いた天然木の表情や漆喰塗りの壁に感銘を受けたという。木の家で育ち、お父様が庭づくりを趣味としていたことから、樹木や植物が生活の身近にあった。「玄関ドアを開けると、木の香りがしました。家族とこんな家で暮らせたら、日常がさらに楽しくなるかもしれない。わが家での時間は、いろんな原動力になりますからね」。そこから家づくりへの思いが再燃。自分たちがどんな暮らしをしたいのか。ご夫婦が描く理想と未来がこの家には詰まっているのだ。
住み慣れた場所での新たな暮らし。それまで住んでいた借家は古い平屋。周囲は2階建ての住宅がほとんどで、南側にも背の高い建物がある。陽当たりは決して良いとは言えず、日中でも室内は暗い環境。10年ほど住んでいたものの、南側の庭に出て遊ぶこともなかったそう。
そんな理由から、Kさんが第一に求めたのが「明るい家」だ。様々な条件がある中、尾堂産業はファーストプランで、2階リビングを提案。「実家が二世帯住宅で、祖父母が1階・私たちが2階という間取りで生活していたんです。なので、提案も違和感なく受け取れました」。
ご夫婦に案内されて2階へ上がると、自然光が差し込むリビングが視界に飛び込んでくる。中央に階段があるので、一番上の踏み板では間仕切りがほとんど無いフロアの様子を一望することが可能。吹き抜けの勾配天井とリビングから続くバルコニーが開放感を創出し、木目の豊かな表情と相まって実に心地いい空間となっている。
尾堂産業では、暮らす人のライフスタイルを軸に、自然との一体感を得られる家づくりを実践している。K邸は住宅地に建っているが、室内に一歩入ればまるで森の中にいるような感覚に。自社でじっくりと乾燥させる木材をはじめ、梁や柱を現す伝統的な工法や造作の木製家具・収納が標準仕様となっていることも要因だ。加えて、人や空気がスムーズに流れるよう、ゆるやかにつながる間取りにも特徴がある。延床面積約27坪のK邸だが、数字以上のゆとりと広がりを感じられるのだ。
これだけオープンだと、冷暖房効率が心配になる人もいるのでは? Kさんによると「夏は2階のエアコン1台だけ。24時間稼働させていますが、光熱費は以前の家より減ったほど。冬は〝びおソーラー〟や床下エアコンの活躍が楽しみです」。
2階リビングでプライバシーを確保しながら、伸び伸びとした家族時間を満喫するKさん家族。今後は、プライベート感溢れる1階も活用するべく、楽しい計画を練っている。
【尾堂産業/鹿児島】