姶良市に誕生した尾堂産業のモデルハウス。これまでの自然素材で造る家事楽ハウスを踏襲しつつも、独自の視点での提案もあちこちに。これからの同社の家づくりを体感できるコンセプトモデルだ。
テーマは「自然室温で暮らせる家づくり」。そのため、ここでは『びおソーラーシステム』が採用されている。冬はソーラーパネルで温めた空気を床下に送り、輻射熱でほんのり温かく。夏は放射冷却を活用して涼しい空気を取り入れるシステムだ。しかも電気エネルギーをほとんど使わず、設置コストは施工費含めてもとってもリーズナブル。
とくに高温多湿の鹿児島では、蒸し暑さが不快の一因。逆に湿度を抑えられれば過ごしやすくなることも分かっている。そこでより湿気を排除するため、壁をひと工夫。スタンダードな石膏ボードを下地に使わず、すのこ板の上に砂漆喰を塗り、さらに漆喰で仕上げる手法を考案した。これは同社のオリジナル。何かいい方法はないかと考えていた社長が、夢でひらめいたアイデアなんだそう。
広々とした室内空間に見えている柱は1本だけ。通常なら空間を仕切る壁を造るために柱が必要だが、ここではその柱が見当たらない。実は、壁そのものがパーテーションのように動かせる自在壁になっているのだ。2階もフルオープン。主寝室のみ、戸襖を閉めれば家族構成や暮らし方に応じて、間取りそのものを変化できるというわけ。それでいて耐震等級3、耐風等級2の長期優良住宅認定を取得しているのもポイント。また、先々のメンテナンスを考えて電気配線を露出させているのもユニーク。パッと見は違和感のないその造りも、モデルハウスでぜひ確認をしてみたい。
機能や性能はもちろん、家で過ごす時間が楽しくなる提案もここにはある。例えば、庭と車庫からつながる小さな離れ。パパの書斎など多目的に使える、ちょっと特別な空間だ。ママにはキッチン横に、庭が見える家事室を。いつもはすぐ近くに家族を感じる距離感がいいけど、時には自分だけの時間を過ごしたい。そんなリクエストもきっちり盛り込まれている。
【尾堂産業/鹿児島】