日々の疲れを忘れさせ、心を落ち着かせてくれる豊かな森の風景を借景にしながら、広い庭にも梅や紅葉などたくさんの木々が植えられたM邸。「緑に囲まれた場所で、毎日自然を眺めながら暮らしたかったんです」とMさんご夫婦。
心地良く感じる住まいに欠かせないものは、人によってすてきなインテリアだったり広々とした空間だったりするのかもしれないが、「自然」を身近に感じられることも癒される住まいには不可欠な要素。床や柱、壁などに使われている自然素材の風合いはもちろん、大きな窓から吹き抜ける気持ちの良い風、季節によって変化する陽差しや影、そして四季折々に変化する木々の風景を取り入れた家は、昔から変わらない日本家屋の大きな魅力だ。M邸でも、室内には無垢材や漆喰をふんだんに使うとともに、縁側など家の外へとつながるスペースを設けて自然と一体になれる住空間を作り上げている。「リビングの掃き出し窓も大きくしてもらいました。縁側では庭を眺めながらくつろいでいます」とご主人。
敷地の広さに余裕のあるM邸は、将来に渡って動きやすい平屋建ての家を希望。和室と一体になった開放的なLDKと、寝室などのプライベート空間は、廊下を挟んで明確に分けられている。一直線に伸びる廊下の長さは7m以上。ともすると無駄なスペースと捉えられがちな廊下だが、各部屋の独立性や機能性を高めるなど大切な役割がある。キッチン横の脱衣室からまっすぐ寝室へと続く廊下には、ゲストが移動する来客動線と家族の生活動線をほとんど交差させないというメリットも。また、寝室が廊下で隔てられていると、仕事の関係で日中に睡眠をとることもあるご主人もゆっくりと休むことができ、家族が寝ている時間にキッチンやリビングを使う音も気にならない。そうやって家族間のパブリックとプライベートも分離してくれる長い廊下だが、リビングとの間に設けられた下がり壁と格子状のスライドドアにはガラスなど仕切りとなるものははめ込まれていないため、リビングからの光と風、人の気配も感じられる空間となった。
ご主人の職場の方がすでに旭住宅での家づくりを経験していた縁で、モデルハウスを訪れたMさんご夫婦。飾らないシンプルなデザインと自然素材の組み合わせに惹かれたというが、「一番の決め手は寺迫さんの人柄」と断言する。なんでも相談できる信頼関係が築けたことで、家族にとって本当に暮らしやすい家がカタチになっていったのだそう。「結婚を機に家をつくることになったのですが、当初は子ども部屋も考えていなかったんです」というお二人は、現在0歳のお子さんの子育て中。プランニングでは、子どもをお風呂に入れるときにも窮屈さを感じない広い脱衣室、ベビーベッドも余裕で置けるダイニング、家族の様子を見渡せる対面キッチンが用意され、子育てしやすい住まいとなった。脱衣室はその場に洗濯物を干すことができるが、外干しにも便利な勝手口を付けた。
ちなみに、子ども部屋の代わりに奥様が熱望していたのは、9年のつきあいになる愛犬パグたちの部屋。この子たちもパパとママと娘の3匹家族だ。
【旭住宅/鹿児島】