魚見岳を望む開放的な景色に心癒される指宿市の住宅地に建つ、明るく落ち着いた佇まいが目を引くA邸。杉にクラシックを聴かせ熟成させた「音響熟成木材」、空気清浄の役割が期待できる「幻の漆喰」など選び抜かれた自然素材に囲まれた住まいは、扉を開けた瞬間から不思議と空気が心地よく、ホッと安らげる空間だ。
転居や区画整理の関係で、Aさんにとって今回の家は3棟目。それまでの経験を生かして迎えた家づくりは、不必要なものは潔く切り捨て、必要な部分には妥協なくこだわって、「修正の希望にもたくさん応えてもらいました」と振り返る奥様。それだけに、「全部思い通り。本当にいいものができました」と、見せる笑顔も満足げだ。楽しい家との出会いは7年ほど前で、同市であった完成見学会に足を運んだのがきっかけだった。もともと家を見るのが好きで、ほかにもモデルハウス等を見て回っていたというAさん。「木の感じがよかった」と、3棟目に求めたのは自然素材の優しい温もりだった。
お子さんはすでに巣立って家庭を持ち、現在は夫婦二人暮らし。2階は必要ないと判断し平屋の家を希望した。LDKの北側には3つの扉があり、それぞれ洗面+浴室、クローゼット、トイレに繋がる間取り。家事をする時だけでなく、入浴や着替えなど生活全体の動線が短くて済み、「ほとんどここだけで用事が済んでしまう」と奥様も大満足の様子だ。
そんなLDKの隣には和室が2間。広縁があり、大きな窓から屋外まで広く遠く視界が開ける爽快感が心地いい。床の間や仏間のある純和風の造りで、部屋の端に配しがちな仏間は中央に。「真ん中に座って手を合わせたい」というご主人のこだわりだ。夏休みやお正月にはお孫さんたちも来て賑やかになるというA邸では、この広々とした和室が大活躍する。
住まい全体は、玄関を上がって右へ進むとLDK、左へ進むと和室へ抜けられ、ぐるりと一周できる間取り。通路は玄関部分だけで、居室や収納に空間を無駄なく使っているのも特徴だ。
スッキリと片付いた気持ちのいい家。それをキープするために重視したいのが収納だ。3棟目ともなればそれは身をもって実感されてきたようで、A邸の収納はかなり充実の備えとなっている。クローゼットは3か所あり、和室には押入れのほか広縁にも収納が2か所。キッチンまわりも充実しており、食器棚に加えパントリー、さらにはキッチンカウンターの下部も物入れとして造作されている。各所で使い勝手のいいように、奥行きや棚の高さなどが工夫されており、収納内までも見栄え良く片付いているのが印象的だ。それらのほとんどは希望に合わせて造り付けられたものだが、これまで使っていた食器棚や衣裳箪笥もA邸ではまだまだ活躍。配置する場所にはそれぞれのサイズに合わせたスペースが確保され、住まいに馴染むかのようにピッタリと収まっている。
【楽しい家/鹿児島】