緑豊かな風景に溶け込み、木の温もりに包まれたN邸は、高校生、中学生、小学生の3人の息子さんとご夫婦の5人が暮らす平屋+ロフトの住まい。希望したのは木をふんだんに使った明るい家だ。そんなNさんご家族のリクエストに応えて自然木が提案したのは、無垢の木材を多用し自然素材の質感でコーディネートされたメリハリのある室内デザインと、深い軒下にワイドな窓を連続して光と風をバランスよく取り込む空間設計。
自然の力を利用して快適に暮らすパッシブデザインにおいて多くの実績を残している同社では、一年間の陽当たりや影の差し込み方を3D画像でシミュレーションしながらプランニングしていく。冬場は室内の奥まで差し込む陽射しの暖かさをエネルギーとして取り入れ、夏場は陽射しを遮る工夫を徹底し、風通しの良い窓配置を検討する。パッシブデザインとは、自然エネルギーを利用して心地よい環境を実現し、我慢することなく省エネルギー生活を実現する技術。それは、自然を楽しむ暮らし方の提案でもある。
主寝室と多目的に使える和室を持つ1階「平屋」と、子供たちの個室に使える高さを抑えた「ロフト」を計画。「ロフト」は、北側からの穏やかな光と南北の窓を通り抜ける風が居心地の良いプラベートスペースになっている。
リビングとひと続きになったキッチンからは家中の家族の様子を伺いながら料理をすることができ、ロフトの子どもの様子も気配で解るとか。キッチン横にバスルームを配置したり、ヌレ縁へ続く勝手口を設けたことで家事動線もシンプルで使い易い。また、南側窓開口をつなぐ長いヌレ縁は各部屋と庭を連続させるだけでなく、家族が日向ぼっこをしたりお茶を飲んだり、ガーデンパーティーでゲストとくつろげる憩いのスペースとしても機能。「庭をいじる時間も多くなりました」と、室内と庭とのつながりが出来たことで、ガーデニングの楽しみも増え、ご主人が率先し庭いじりをするようになったそうだ。
【建築工房 自然木(じねんもく)/鹿児島】