玄関ホールからリビングへ進むと、美しい木目の床と天井が迎えてくれる。写真でも分かるが、K邸のパブリックスペースは型にはまらないスタイルが特徴。ご夫婦で考えたという間取りは、それぞれの好みの住宅のレイアウトが参考になっているそう。
パッと目を引くのが、掘り下げタイプのリビングだ。ソファに腰掛けると、すっぽり包み込まれる感じで、なんとも言えない安心感がある。式台のように設えた踏み板は、テレビボードでもあり、和風の机(文机)でもあり、ベンチでもあり。「大勢が集まるときはすごく便利」と奥様。娘さんからは「かくれんぼにもいいんだよ」と、お気に入りの隠れ方を教えてもらった。
ダイニングとフラットでつながる和室は、あえてリビング側の開口を腰高窓に。しかし出入り口は用意してあるので、和室を通って回遊性のある動線を確保。通り抜けられるキッチンとともに、視界が広く、くるくると動きやすいフロアを実現している。
2階には主寝室と3人分の子ども部屋を配置。廊下の両サイドに部屋が並ぶ様子は、ホテルの客室のような雰囲気だ。開放的なパブリックスペースとは対照的だが、子どもたちの性格を考慮して部屋を割り当てている。互いがフォローしあえる環境を整えているのもK邸ならでは。また、階段を上がってすぐに備わるホールは、室内干しのスペースとして装備。階段からストレートでつながる配置は奥様のこだわり。こうした細かな配慮が、使い勝手のよさを高めているのだ。
「家づくりで譲れない3つの要望を受け入れてくれたのが黒松製材建設さんだったんです」。ご夫婦の要望は、天然木と漆喰を使うこと、薪ストーブの導入。いくつかのハウスメーカーに相談したが、納得できる対応はなかった。そんな時に友人から紹介されたのが増田材木店。地元の工務店は頭になかったというご主人だが、「大丈夫ですよ、とすぐに言ってもらえて。予算内で要望以上の仕上がりに満足しています」。
【黒松製材建設/鹿児島】