「ずっと木の家を建てたくて」と話し始めたご主人。ちなみにどんなハウスビルダーの家を見たのかを尋ねると、ふむふむなるほどと膝を打つラインナップ。しかもそのなかの某社でほぼ決めていた、との告白も。そんな決心を見事にひっくり返したのが、尾堂産業の『木楽な家』家事楽ハウスだった。
家づくりの参考にと、SNSを探していたら尾堂産業がヒット。「勝手に見学会、という言葉がまず気になりました。よく見るとご近所のモデルハウス。スタッフがいなくても自由に見学できるとのことで、本当に文字どおり気楽に行ってみたんです」。実はその日の午後には某社で契約まで進めるつもりで、先方へアポイントを入れていたFさん。出向く前に家族で足を運んだモデルハウスに一目惚れ。ご夫婦ともに「ここがいい」と意見が一致したのは初めてのことだったそう。その後、某社にはきちんと足を運び、心変わりを詫びて落着。すぐにF家ならではの家事楽ハウスづくりへと舵を切った。
おもしろいのはご夫婦それぞれの着眼点。ご主人は、構造や素材、価格をトータルで評価した一方で、奥様は家事動線と実にシンプル。土地が決まった頃に生まれた末っ子を含め、3人の子どもたちとにぎやかな毎日を過ごしているお二人。育休が開けると共働きになることを見据えた奥様にとって、練り上げられた家事動線は大きな魅力になった。
同社がプランニングするにあたっては、朝起きてから何をするのかを夫バージョン、妻バージョンともにヒアリングを行った。「この時点で、すべてプロにお任せするのが一番だと思いました」とご主人。美容師という仕事がら、素人が求めすぎるとプロの持ついい面が出ない、と直感。丁寧なヒアリングの効果もあり、プレゼンされたプランは納得のいくものだった。コンパクトな建坪ながら、家族の動きを妨げない回遊性のある動線。とくに洗濯に関しては、洗う→干す→畳む→しまうをいかにスムーズに行えるかが重要。F邸では畳む→しまうがほぼ同室で叶えられ、奥様をしっかりとサポートしている。
新居で暮らして約2か月。湿気の多い季節を過ごしたFさんだが、「室内でベタつきを感じなかった」と驚きを隠さない。それもそのはず、同社が用いる素材は、きちんと吟味された木材に漆喰といった自然素材がほとんどを占める。家具類まで天然木で造作できるので、住空間はまるで森の中にいるように清々しい。そんな空気感をどこにいても味わえるのだ。また、ご夫婦の要望で、部屋数は必要最小限でレイアウト。「ワンフロアで生活を完結できるよう、主寝室は1階に。今は家族みんながほぼLDKで過ごしています」と笑う。
そんな憩いの場となっているリビングは、キッチンからの眺めも良好。小柄な奥様に合わせて設えてあるので、子どもたちの顔が見やすく、かつ炊事もしやすい。キッチンが低くなったため、子どもたちが以前よりお手伝いをするようになったと、予想外の収穫も。浮づくりの凹凸が心地いい床の上で、仲良く遊ぶ三兄妹。なんともほっこりするシーンが似合う家である。
【尾堂産業/鹿児島】