玄関を入ると爽やかな木の香りに包まれ、見た目にも優しいナチュラルな空間が広がる。結婚した当時から、家を建てることが夢だったというSさんご夫婦。いつか家を作るときのために様々なハウスメーカーの特徴を調べていくうちに、自分たち家族にとっての理想は自然素材を使用した健康住宅であるという結論に辿り着いた。そんな中で出会った旭住宅のスタッフの人柄が決め手となって、同社での家づくりがスタートした。
自由設計の家づくりにおいて、作り手と住む人の相性は見過ごすことのできない大事な要素になる。作り手は、打ち合わせの会話の中で家族のライフスタイルを正しく把握して、日々の暮らしやすさを提案しなければならない。今回、ご家族がリクエストしたのは、家事負担が少なく、子どもたちがのびのびと走り回れるような住まい。そんな要望に応えて作られた最初のプランをそのまま採用し、ほとんど変更することもなく現在の住まいが完成したというから、Sさんご家族にとって相性抜群のパートナーだったと言えそうだ。
LDKを中心とした家族の生活スペースと、中2階を利用した二つの子ども部屋が程よい距離感でつながる旭住宅のS邸は、平屋のメリットと、階層のズレが生み出すワクワク感を楽しむことができるゆとりの住まい。「平屋の家にしようとも思っていたのですが、子どもたちが2階建てを希望したので間をとって中2階になりました」とご主人が言うように、将来の暮らしやすさを考慮し、土地に余裕がある場合、平屋建てを望む家庭は多い。しかし、スキップフロアのように空間を立体的に重ねる構造にすると、そこに面白さが生まれ、縦の空間を有効活用できるようにもなる。
S邸では、中2階の下にビルトインガレージを配置。玄関以外の入り口を2か所設けたことで家の出入りをスムーズにするとともに、隙間を利用して収納スペースを確保した。また、子ども部屋では階下のバスルームの高さに合わせてベッドを造り付けたり、玄関吹き抜けにつながる室内窓を設置したりと、中2階の高さや位置をうまく計画して、視覚的にも体感的にも楽しい空間となった。
並行して作業を行うことが多い様々な家事を短時間でこなすためには、移動距離を短くしてスムーズな流れを作らなければならない。S邸では、リビングと一体になったキッチンの右手にダイニング、左にはバスルームと裏口へ続く廊下があり、背面に主寝室を配置。キッチンに立つと室内だけでなくウッドデッキや庭まで見渡せるので、料理をしながら家族の様子を伺うことができ、同時にほかの家事も効率よく行うことができる。「リビング→ダイニング→主寝室→廊下」と、キッチンをぐるりと囲む回遊性のある間取りは、動きやすいだけでなく空間の伸びやかさを感じさせてくれる。Sさんご夫婦が想像した通り、子どもたちは楽しそうに走り回っているそう。
また、洗濯の一連の作業をその場で済ますことができるランドリールームとしての機能を充実させた脱衣室や、ダイニングに作り付けられた家事用カウンター、そして、玄関ホールから直接アクセスできる客間を用意したことも、共働き子育て世代の家づくりでは参考にしたいアイデアだ。
【旭住宅/鹿児島】