玄関を開けると、ふっと木の香りが広がるS邸。思わず深呼吸してしまうほど、澄み切った空気に包まれた明るい室内は、木の温もりや安らぎで満たされている。リビングにはたっぷり陽が差し込み、デッキや庭など外へと視線が抜けていくので開放感もあり、縦にも横にも広がりのある空間を造り出している。床、柱、テーブル、建具にいたるまで自然素材を使用。木の質感や美しい木目一つひとつがデザインになって住まいを彩っている。「実はこの家、親族が所有していた木材を使って建ててもらいました。テーブルや椅子は奥様のお父さんから頂いた木です。自分達仕様に施工して頂き、使いやすいのはもちろん、一つひとつが作品になって家族の大切な思い出になっています」とご夫婦。杉やヒノキ、楓木など樹種も様々だが、木の特性を見極めて、丁寧に施工されたオリジナリティ溢れる品々は職人の技が随所で光っている。
住まいはファミリークローゼットを中心に回遊動線で使い勝手のいい平屋造り。洗面脱衣所などの家族でシェアするスペースは住まいの中心に配置し、どこからでもアクセスできる無駄のない間取りになっている。「勤務時間が不規則なので、家族には迷惑をかけたくない」とご主人の書斎は、寝室から離れた玄関奥に設置。小ぢんまりとした空間だが、収納力もあり、窓からの光を取り入れて室内も明るい。
暮らしやすさは間取りや動線だけではない。「これいいよね」と住みながら感じる同社のきめ細やかな施工にご夫婦も口を揃えて喜んでいる。一つに全ての間仕切りは床面にレールのない上釣りタイプを採用。レールがないので掃除もしやすくゴミもたまりにくい。収納用建具は全て取っ手レスタイプ。扉の下部に掘り込み取っ手をつけてデザインもすっきり。暮らしやすさを第一に職人の巧みな技で、デザインはもちろん機能性にも優れた「さりげない配慮」が細部にまで散りばめられた住まいだ。
【住まいず/鹿児島】