吹き抜けで天井の高い開放的な空間に明るい陽光が満ちるY邸のリビング。走り回る子どもの足が触れるその床には、肌触りが心地いいマツの無垢フローリングが広がり、伸びやかな家族の時間を力強く受け止めている。耐震・高耐久の性能を施した七呂建設の家づくりに加え、新築ながら経年を感じさせる床の深い色み、施主自ら焼き色を加えた格子、照明の暖色が映えるクリーム色の壁など、住まいを形作る素材や色にもしっかりこだわって、温もりや落ち着きのある空間を目指した。
開放的なLDKはただ一体になっているのではなく、畳スペースが段上がりに。また、リビングとダイニングの位置を少しずらしてメリハリのある空間になっている。「いろんな見学会を見てきた」と言うだけあって、住まいの中心に据えたスリット階段がアクセントに感じられ、デッドスペースになりがちな階段下に便利なカウンターが設けられている。さらに痒いところに手が届くようなコンセントの配置まで、細部にわたる工夫が参考になる。
間取りでまず重視したのは家事動線。「できるだけ最短距離でこなしたかった」という想いから、キッチンのすぐ背後にランドリーや洗面スペースを配置。朝は洗面スペースで整容を済ませたら隣のクロークでコート等を着用し、そのまま玄関へと回遊できる間取りになっていて、出勤や外出時の流れも落とし込んである。各空間、広さをしっかり確保しながら収納も充実している。例えばベビーカーやゴルフ道具も収まる玄関収納は、完全には仕切っていないため圧迫感がなく、かつ出入りやものの出し入れもしやすい、使い勝手の良さが魅力。また、畳スペースの段差はリビングで使うものをすぐに取り出せる引き出し収納として活躍している。
小さい子どもが安全に遊べるようにと庭も広く確保したのもこだわりの一つ。一角には小さな菜園とプランターを置いてホウレンソウやイチゴを栽培している。「野菜嫌いだけど自分が作ったものなら食べる」と食育にも自然に取り組み、家族の時間を育んでいる。
【七呂建設/鹿児島】