小さな路地が懐かしい風景を縁取る静かな住宅地。そこでひときわ目を引くのがH邸だ。白を基調にした外観はもとより、片流れ屋根を掲げるファサードの凛とした佇まいは、建物自体を大きく見せる効果も。シンプルながら、側道からの見え方、窓の配置など細かな点までよく配慮されているデザインだ。
購入した中古住宅の建て替えを考えていたHさん夫妻。松建では、職場の同僚の何人かが建てていたこともあって興味を持ったそう。同社が手がける住宅は、無垢材や漆喰といった自然素材を活用し、住む人の〝心地よさ〟に視点を置いた提案を行っているのが特徴だ。
「完成見学会に訪れたとき、温かな雰囲気を感じました。直感的な気持ちよさがあって。相談や打ち合わせでも、私たちの思いを尊重してくれて一緒にいい家を造ろうとしてくれる。素材だけじゃなく、きっと造り手の人柄や姿勢も家に現れていると思います」。そう笑う二人から満足度が伝わってくる。
H邸の敷地は間口より奥行きが長い長方形。建物も土地形状に合わせて縦長に。南面にLDKを据え、北面に主寝室、その間に水回りなどを配置したメリハリのあるレイアウトとなっている。
効率的で計画性のあるプランを要望したのは奥様。片付けやすい動線と収納、そこでプライベートゾーンの中廊下にクローゼットを用意。ストック類や文房具などを一括でしまえるのでとても便利なんだとか。このクローゼットをはじめ、他の収納室の内壁も漆喰仕上げを採用。子ども部屋のみクロスを使ったのだが、奥様いわく「漆喰塗りの部屋の方が空気が柔らかい気がします。収納内は特にわかりやすくて、こもったような感じも匂いもしません」と、漆喰の効果を実感中。
家族が集まるLDKはゆったりとした広さが魅力。浮づくり加工されたスギの床は、冬でも冷たさを感じず夏はさらりとした感触を楽しめる。自然素材と使い勝手のいい間取りがもたらす快適さを享受しながら、リラックスした日々を過ごせる住まいが実現した。
【松建(しょうけん)/鹿児島】