静かな住宅地でひと際目を引く男前な外観のS邸は、あたたかな光を灯す夜の姿がまた印象的。無機質なガルバリウム鋼板と表情豊かな植栽が相まって実に美しい佇まいだ。そんなS邸のアプローチを抜け玄関に入ると、目の前に現れるのが階段横一面のオープン棚とピアノ。ここはSさんご家族の趣味の場所として象徴的な空間となっている。棚にはたくさんの本が並べられていて、本好きのお子さんがいつでも自由に手に取れる。階段は腰かければ椅子となり、ライブラリーコーナーとして大活躍。今はまだ小さなお嬢さんがいつか奏でるピアノをBGMに読書を愉しむなんて光景が想像つく。さらに、階段下にはワークデスクを設置。仕事やPC作業などのデスクワークをしたり、お子さんが小学校に上がれば宿題をしたりと多目的に使える。また、階段の後方にはキッチンがあり、家事をしながらそんな家族の様子をうかがい知れる。それぞれの時間を過ごしながらも家族がつながっていられるつくりだ。
家族が憩える空間が充実しているのもS邸の魅力。コの字型のキッチンは、ワークトップ兼カウンターがダイニングテーブルとしての役割も果たし、家事の時間も食事の時間も家族で共有できる場所に。また、キッチン内の床を一段下げることで目の前に座る家族と目線が合いやすく、立ち仕事をしながらもしっかりと会話を楽しめる。そんなキッチンの横には小上がりの畳スペースが。和室を作るにはスペースが不十分だったが、Sさんご家族の意向を汲んでプランニングしたのがこのスタイルだった。「希望していた畳スペースが実現した上に、腰かけにもなり、休息の場ともなり、しかも畳下収納まで備え、予想を上回るアイディアに驚きました」と嬉しそうに話すご主人。そしてその窓の外に広がるのは十分な広さの庭。多彩な木々や家庭菜園などで季節を味わいつつ、BBQをしたり、子どもたちが走り回ったりと、この庭には家族の豊かな時間が流れている。
【ベルハウジング/鹿児島】