目の前に祖父母の畑が広がる長閑な風景の中に佇む堂々とした外観が印象的なT邸。室内は、どこか懐かしい気持ちにさせてくれる木の温もりに包まれた空間だ。
家づくりを思い立った当初は、スタイリッシュな住まいを思い描いていたTさんご夫婦。住宅展示場を見学したり資料を取り寄せたりしながら、憧れの住まいのイメージを膨らませていったのだそう。「でも、当時2歳だった長女と旭住宅のモデルハウスを訪れたとき、他のメーカーの家ではかしこまっていた娘がご機嫌で走り回っていたんです。きっと、他の家とは違う居心地の良さを感じていたんでしょうね」と、木の家の魅力に気付かされたという。
「それまでに見学したモデルハウスはどの家も素敵な家だったのですが、『自分たちが年をとっておじいさんおばあさんになっても落ち着いて暮らせる家がいいね』と主人とも話して、無垢材をたっぷり使った自然素材の家を作っていただくことになりました」と奥様。
ゆったりとした玄関ホールを抜けて中へ入ると、リビング横の和室にはかわいいベビージムが置かれていた。3歳になった長女とまだ0歳の次女の、子育て奮闘中のTさんご夫婦。さらに、春には職場復帰を控えていた奥様の負担を少しでも軽減するためにと、室内の間取りは、ほとんどご主人が考えて提案したのだそう。
「ミルクを飲ませるために寝室とキッチンを行き来することが多いので、寝室のドアからキッチンへとスムーズに移動できる配置にしました。」とご主人。また、キッチン横に脱衣室があるのだが、そことは別に室内干しができるランドリー室を用意した。脱衣室は銭湯をお手本に、着替えを置ける棚を造作。洗濯機は動線を考慮してランドリー室に置いている。ここからウォークインクローゼットを通って寝室へと回遊できるので、日々の生活動線もスムーズだ。「行き止まりがないので動作に無駄がないですし、なにより、子どもたちが楽しそうに走り回っているのを見るのが嬉しいです」。
ウォークインクローゼットと寝室の間にコンパクトな化粧台を作りつけたり、寝室内の一角に書斎スペースを作ったりといった空間の使い方も、ご主人のアイデアだ。他にも、、リビングの壁をくり抜いた棚や2階へ続く階段踊り場のブックシェルフ、2階ホールのカウンターなど、ちょっとしたスペースを有効に使う工夫は至る所で見ることができ、2階の子ども部屋へと続く廊下にもデッドスペースを利用して収納用の空間が作られている。子ども部屋など、今のところほとんど使われていない2階の個室は、ソファが置かれたリラックススペースのような空間となっていた。
家族の暮らしやすさを一番に考えながら住まいの設計を楽しんでいたというご主人だが、バイク用のインナーガレージという自身のお気に入りスペースもきちんと確保している。「玄関から直接つながっているので便利ですよ。ガレージの上にはロフトも作ってもらいました。これからハシゴをつけて趣味部屋として活用する予定です」。
【旭住宅/鹿児島】