鹿児島市内の閑静な住宅地の一角にあるK邸は、床から壁、天井まで全て無垢材の杉板や漆喰を使用した自然素材の家だ。二人の男の子の子育て中というKさんご夫婦がマイホームに思い描いていたのは、子どもたちを安心して育てられる優しい空間だったという。
「自然素材を使ったモデルハウスをいくつか見学に行ったのですが、中でも楽しい家さんの漆喰の塗り方がきれいだったことが決め手でした」とご主人。その後、同社で建てられた家も数軒見学しながら、自分たちの家づくりの参考にしていったのだそう。「見学させていただいたモデルハウスの通り土間風の玄関も素敵だったのですが、スペースの都合であきらめて、シューズクロークに設置したスイングドアだけ真似させていただきました」と話す奥様。玄関収納を削ることで生まれたキッチン横の空間には、カウンターと子どもたちでも手の届く本棚を設置し、読書や勉強など家族が自由に使えるフリースペースとなっている。
家の前に広々とした庭をするK邸。「ウッドデッキを作る予定はありません」というご主人は、子どもたちがもう少し大きくなったら一緒にサッカーの練習をするのを楽しみにしている。今は、この庭に面したワイドなリビングと和室が子どもたちのプレイスペース。自分たちのおもちゃをすぐに取り出したり上手に片付けられたりできるよう、和室の吊り押入れの下にはおもちゃの収納スペースを用意した。これも、見学先で見つけたアイデアだ。
家族の様子が見渡せるようにと開放的なアイランドキッチンを採用した奥様。キッチンの左右に、先のカウンター付きフリースペースとダイニングテーブルを配置している。「キッチンの裏にバスルームがあるので、子どもたちをお風呂に入れるのも楽になりました」と奥様が言うように、脱衣室は子どもの着替えがしやすい広さを確保。その横に衣類の収納もできる室内干しスペースがある。朝の着替えや幼稚園に行く準備もこの部屋で行っているのだそう。
リビングから直接つながる主寝室は、今のところテレビとソファが置かれたセカンドリビングになっているが、1階に寝室を配置することで、将来的には階段を使わずに生活できる間取りとなっている。
2階には、現在家族の寝室として利用している二間続きの子ども部屋と、ご主人の書斎を用意した。2.5帖の小さな書斎は、「隠れ部屋の雰囲気を出したくて、本棚風の扉をインターネットで調べて作っていただきました」と、一見しただけではドアの開け方もわからないご主人こだわりのスペースだ。他の部屋のドアや建具も全部、家族の希望を聞いて作られたオリジナル。テレビボードなどの家具や室内の至るところに設けたニッチの形まで、細やかにリクエストを反映して作ってくれたのだそう。「家づくりの前に見学させてもらった家に、お手本にしたくなる工夫がいろいろあったので、間取りやデザインを参考にしながら自分たちの家に取り入れていく過程がとても楽しかったです」。
【楽しい家/鹿児島】