結婚、妊娠、出産と並行してのO邸の家づくりは、ハードスケジュールでありながらも妥協することなく家族の理想を見事に形にした。中心となって進めたのは一家の主であるご主人。土地に合わせて自らが図面を引き、家族にとってベストな間取りを追求。家族で過ごす時間が最も長いリビングは居心地の良さをとことん重視し、開放感のある空間づくりにこだわった。壁や天井は白を基調とすることで、全体的に光をまといさらなる広がりを感じさせ、吹き抜けを設けることで圧迫感のないオープンな空間が生まれた。
そして最も開放感をもたらしているのは、リビングの大きな窓。光をたっぷり取り込むのはもちろんのこと、市街地を見下ろす開けた視界がのびやかな空間を演出。しかもその景色の見え方が一番美しい角度まで計算したと言うから驚きだ。キッチンで家事をしながらその景観を楽しんで欲しいという奥様への粋な計らいがなんとも心にくい。
リビングの窓の景色を考慮して土地に対して斜めに配置することになったO邸は、実は他にも優れたメリットがある。1つは、道路や近隣と正対していないから視線がぶつからず、住宅地でありながらもプライバシーが守られるということ。そしてもう1つは、四方に変形の土地が生まれる点だ。道路側には駐車場や芝生の庭を設け、残りの二面はちょっとした作業スペースや坪庭にする予定。『斜めの家』は見た目のインパクトもさることながら、非常に機能的でもある。
O邸の魅力は、地震や災害に強い頑丈な構造にもある。「鉄骨と木造の良さを融合したテクノストラクチャー工法も決め手となりました」とご主人。部材の強さを生かし、自由な設計が可能だからこそ、ご主人が作図した図面通りの家が完成した。「何一つ不憫のない住みやすい家になりました」とほほ笑み合うO邸ご家族。家族の願いを柔軟に叶えることができる注文住宅だからこその満足度と言えそうだ。
【田丸ハウス/鹿児島】