海を見下ろすのどかな風景によく似合う三角屋根の小さな家。玄関ドアを開けると、玄関土間とリビングやキッチンが一体になった開放的な空間が広がっている。かなり大胆な配置のキッチンに訪れる人たちも驚くそうだが、「汚れても気にならないし、使い勝手がいいですよ」とにこやかに話す奥様。昔ながらの暮らしを彷彿とさせる土間キッチンは炊事の後の掃除も簡単。庭仕事の合間のひと休憩にも便利なのだそう。
家を建てるにあたり、住宅が密集していない静かな環境を求めていたお二人。ドライブをしながらみつけたというこの土地は、鹿児島市郊外の緑豊かな場所にありながら近くに駅もあり、ご主人の通勤にも便利な立地だ。このロケーションに馴染む家を建ててくれる会社を一年がかりで探したというお二人は、「住まいずさんが作られた広い通り土間のある家を見て、こんな家に住みたいと思ったんです」と振り返る。シンプルな木の家というのも二人の理想通りだったのだそう。
「家は広くなくていい」。そう考えるお二人が目指したのは、コンパクトだけど開放的な心地いい空間。1階に生活空間を集約し、玄関土間からキッチンはもとより、リビング、そして寝室へもダイレクトに行き来できる間取りで、生活動線も至ってシンプルだ。リビングから土間キッチンへの移動は不便なのでは?との問いにも、「キッチンにカーペットを敷いているので裸足のままでも大丈夫。そんなに広い家ではないので家事動線について特に不便を感じることはないですね」との答え。2階部分は仕切りのない大空間になっており、今はほとんど使用していないのだそう。「個室が必要になったら仕切ればいいし、必要なければこのままシアタールームとして使おうかな」と、この贅沢なフリースペースの使い方は思案中だ。家自体はコンパクトだが、その分たっぷりの庭があるため、これから畑を作ったり果物を植えたりと、本格的なガーデニングも構想中。収穫の季節には土間キッチンも大活躍なのだろう。
【木づくり建築工房 住まいず/鹿児島】