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【コラム】つくるくらし vol.5 ~携帯にも便利な布製室内履き『ルームシューズ』~

いくつものパーツが縫い合わさり、立体的になっていく行程が楽しい

運動会の朝、少々寝過ごしてしまった私はかなり焦りながら弁当を作っていた。そこに珍しく娘が早起きしてきたので、「ちょうどよかった!野菜洗って」「サンドウィッチも自分で作れるでしょ」。次々に手伝いを頼む。「急いで!」怒号も飛ぶ。まるでシンデレラをこき使う継母のように。自分の寝坊は棚に上げて。おかげで弁当は間に合ったが、割と毎年、運動会の弁当は悩ましい問題だ。なにしと継母と実母の前で披露しなければならない弁当なのだから。

寝てる間に仕事をしてくれる小人がいればいいのに。朝夕少し肌寒くなり、自分用のルームシューズを作りながらそんなことを考えた。足の甲、靴底用、さらにかかと用の布を縫い合わせていくのだが、小物の割になかなか手間のかかる作業。実際の靴職人ともなると相当時間がかかるのだろう。グリム童話のように働き者の小人がいたらどんなにありがたいか。運動会の弁当も、献立表を用意するだけで翌日に出来上がっていたらどんなにうれしいか。

寝てる間にご飯を炊いてくれる炊飯器の登場は昭和の家事大革命の一つ。寝てる間に洗濯物をを洗って乾かしてくれる洗濯乾燥機や、勝手に掃除してくれる掃除ロボットなんてのも平成の世にはもう常識。家事の領域に止まらず、近い将来、私たちのさまざまな仕事を人工知能が代わりにやってくれるようになるのだろう。そしてゆとりの時間が生まれたら…、のんびりと家族用のルームシューズを手づくりしたいな。

 

 


▲少ない布を縫い合わせて作る小物は、余り布や古くなった服のハギレを使えるのがうれしい。中底用の布はお気にりの柄で華やかに

text/若松ともこ