我が家には庭がない。古い住宅地の狭小地に無理やり建てた二世帯住宅。家庭菜園もバーベキューも、どう考えても無理だ。しかし、最近気づいたのである。寝室横に、ちょっと広めのベランダがあることに。試しにアウトドア用のテーブルとイスを並べてみると、家族4人が座れるテーブルセットができあがった。ちなみに、我が家にはダイニングテーブルもない(置く場所がないから)。
ベランダに登場した我が家のダイニングスペースは、子どもたちのお気に入りの場所になった。夕食時、茜色の空がだんだん薄暗くなるにつれて星が一つ、また一つと現れはじめる。食事をしながら子どもたちはその星を数えだすのだ。キッチンからベランダまでの配膳は手間がかかるけれど、子どもたちと星空を眺めながらの贅沢な団欒タイムを過ごせるようになって母はうれしい。
星は、古の時代から人々を導く。新約聖書によれば、キリスト生誕時には東方の三賢者が星に導かれて幼子イエスの元を訪れた。クリスマスシーズン、リースやイルミネーションで飾り付けをする家庭を日本でもよく見かけるようになったが、ドイツなど北欧では窓辺の飾り付けにも力が入るのだそう。窓飾りの一種、トランスパレントスターは透かし折り紙でつくる美しい星。日照時間が短い冬の日差しを、より楽しむための飾りと言われている。我が家ではこの冬、ベランダの窓に飾って星空とともに夜の窓灯りも楽しみたいと思う。
▲8枚のトランスパレントペーパーを丁寧に糊付けしながら折って重ね合わせていくと、まるでステンドグラスのような八芒星ができる
text/若松ともこ